cinema_ni_artのブログ

田舎で育児に奮闘しながら趣味に生きたいフリーランス主婦。映画とアートが好きで、細々推し活できることが幸せ。

お題「おすすめの感動系映画教えてください」5選

 お盆前から子どもたちが代わる代わる体調不良になり、仕事もバタバタ、お盆シーズンだから病院もイレギュラー対応であっちこっち振り回され2時間待った揚げ句「診察できない」で終わり、まったく落ち着かずなんだかモヤッとした気持ちを残したままお盆に入った筆者です。

 コロナ渦に入ってから発熱すると診てもらえなかったり、小児だと小児科以外の受診は断られたり、田舎は規模の小さい病院が多いからなるべく事前に連絡して状況を伝えたうえで受診可能か聞いてから行っているのに、さすがに酷くないか・・・。

 そんなモヤッとした気持ちは大好きな映画について書きまくって忘れよう!(笑)

 

お題「おすすめの感動系映画教えてください」

 

 お題「おすすめの感動系映画」について書いてみる。今回は以下5本に厳選。

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 本作は筆者の敬愛するTim Burton監督作品である。誰もが彼らしいと思うような摩訶不思議な特色はキャラクターデザインや舞台芸術の中に存分に発揮されつつ、作品の中身は普段のバートン作品とは一味違う。(バートンが父の死を機に本作に取り掛かったという点では非常にパーソナルな作品という意味で共通しているのだけど)

 夢想家で自分の世界に閉じこもっている、周りに溶け込めない、THE・バートン的主人公が存在しない本作、むしろジャーナリストである主人公は”リアル”と”真実”に固執しているという真逆の人物像である。そんな主人公と長年の確執を抱えている父エドワードの奇想天外な半生(”ホラ”・”デタラメ”)を物語のメインとしつつ親子のアンビバレントな関係性と家族、愛について考えさせられる作品となっている。

 何十回と筆者は観たが毎回泣く。何度観ても泣けるし、自分の人生の分岐点によって観え方や感じ方も変わっていて実はバートン作品でも1,2を争う傑作。

 

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 本作はNETFLIX配信のたった15分の映画。

アメリカのとある学校で起きた銃乱射事件をテーマに、被害者となった少女の事件当日を描いた。いつもの時間に起きて、いつものように家を出て、いつものように学校に向かって、いつものように授業・・・だったはずがその日が自分の、あるいは大切な誰かの、人生最後の日だったらと想像してしまう。毎朝「いってらっしゃい」と言って、「おかえり」と言えることがどんなに幸せなことであるか気づかせてくれた。(貪欲なためすぐに忘れて煩悩のまま生きているが)15分とはいえおそらくもうしばらくは見返せない。それだけの影響力がある作品。

 

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 天才グザヴィエ・ドランの作品。彼は人間や家族の複雑性を非常に繊細に描く天才で筆者は大好きなのだが、本作は正直好みが分かれるかもしれない。

 主人公の「少年」と「若き大スター」の文通から物語は進んでいく。【若き大スターの知られざる苦悩=本当の自分を隠し続け次第に自分自身もわからなくなっていく孤独や葛藤】と【それをまっすぐに受け止めようとする少年=純真無垢】そしてそんな彼らを取り囲む【大人たち=社会】。「少年」や「若き大スター」は物語を想像しやすくするメタファーで、実は多かれ少なかれ社会の中で生きる人間であれば抱えているであろう孤独や葛藤、そして最後は人生への希望か絶望か観た人によって捉え方は違うかもしれない。そんな人間の不確定さも表現した作品で、映像や音楽の美しさも素晴らしい。鑑賞後の余韻がしばらく残るのも心地良い。

 

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 主人公のウジンは毎朝目覚める度に、顔も、性別も、年齢も、「見た目が全くの別人」になってしまう。それを知っているのは家族や親友だけ。家具デザイナーとして働き、人と関わらない生活を送っていた。そんな彼はある日運命の恋に落ちる・・・というお話。

 設定からすでにシュルレアリスティックで惹かれた本作。普段から、日常会話やツイッター(Xか)などのSNSでも「見た目」か「中身」か論争はよく話題としてあがるだろう。時に外見で人を判断することや容姿に対して何か言うこと自体「ルッキズム」(=差別意識)だという声も多く聞く。じゃあウジンのような現象が起こったら?人間ってファーストコンタクトから本当に「見た目」度外視で関係性を築けるものなのか?出会ったときは「若くてさわやか」な人となんだかいい雰囲気になって、翌朝目が覚めて「髭面のおじさん」だったら?中身は「若くてさわやか」だった人と同じでも、同じ印象を持てるのか。二人の選択と行く先を見守らずにはいられない。

※余談だが、筆者はジェイソン・モモアくらいの髭面が好きである。

 

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 感動系として紹介してもいいのかどうか迷うところはあるものの、ギャツビーの驚くまでの純真さと哀れな生き方は観ていて心をかき乱される。「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」にも通ずるところがある本作だが、豪華絢爛な映像美とJay-Zなど名だたるラッパーたちがプロデュースした音楽は、迫力と見応え満点でハリウッド映画そのもの。両作品とも人間心理をよく描いているが、本作のほうがエンタメとして見やすいかもしれない。ただその豪華絢爛さとギャツビーの生涯のコントラストがさらにその孤独と悲哀を引き出していて外から観ているはずのわたしたちも”虚像””虚無”感をかなり体感できる。映画ならではの迫力と物語の深さがマッチした傑作。

 

 以上、「おすすめの感動系映画」5選でした。

 お盆休みも後半となってしまったが、ぜひお盆明け頑張るために、充電時間として映画の世界に浸ってみてはいかがだろうか。

※「愛してるって言っておくね」は非常にセンシティブな内容のためご注意を。